- ホーム
- 確定申告ガイド
同人活動の確定申告のやり方
同人誌の頒布やBOOTH・FANBOX・DLsiteの売上がある人が、確定申告の前に用意する数字と手順をまとめました。基準になるのは売上ではなく、売上から経費と売上原価を引いた「所得」です。
同人誌の税金と、確定申告が必要になる人
同人活動で利益が出ても、すべての人に所得税の確定申告が必要になるわけではありません。判断の基準は、売上から経費などを引いた所得の金額です。
- 会社員などで年末調整を受けている人:給与以外の所得(同人活動の所得など)の合計が20万円を超えると、確定申告が必要です。
- 給与のない人(学生、フリーランス、専業の作家など):同人活動を含む所得の合計が、基礎控除などの所得控除の合計を超えると、確定申告が必要です。
所得税の基礎控除は、令和8年分(2026年分)から引き上げられ、合計所得金額が489万円以下の人は104万円になりました。20万円以下で所得税の確定申告が不要な人でも、住民税の申告は別に必要です。詳しくは確定申告はいくらから必要かで説明しています。
所得の計算式
同人活動の所得は、次の式で計算します。確定申告書に書くのは、この3つの数字の年間合計です。
所得 = 売上 − 売上原価 − 経費
- 売上:その年に頒布・販売した代金や、受け取った支援金の合計(手数料を引く前の金額)
- 売上原価:その年に売れた分の本やグッズの制作費。売れ残った分は含めません
- 経費:イベントの参加費、交通費、販売サービスの手数料、送料、画材など、活動のためにかかった費用

売上として記録する金額
販売サービスを通した売上は、口座に振り込まれた金額ではなく、手数料が引かれる前の金額を売上として記録し、手数料は経費として分けて記録するのが一般的です。主な経路ごとに、売上と経費に分ける金額は次のとおりです。
| 経路 | 売上として記録する金額 | 経費として記録する金額 |
|---|---|---|
| 即売会での頒布 | 頒布した代金の合計 | サークル参加費、交通費、搬入の送料など |
| BOOTH | 商品代金・送料・BOOSTの合計 | サービス利用料、振込手数料、実際の送料 |
| 書店委託 | 委託先で売れた本の代金 | 委託先の手数料(精算書の差引額) |
| pixivFANBOX・Fantia | 手数料を引く前の支援金・売上 | プラットフォームの手数料、振込手数料 |
| DLsite | 源泉徴収される前の売上 | 源泉徴収された税額は経費ではなく、申告書の「源泉徴収税額」欄に書きます |
| Skeb | リクエスト金額 | リクエスト手数料、出金手数料 |
売上をどの年に入れるか
売上は、原則として商品を引き渡した日の年に入れます。年末に注文を受けて翌年に発送した本は、翌年の売上です。お金を受け取った日ではない点に注意が必要です。
- BOOTHの自宅発送:発送した日。売上管理CSVの「発送日時」が目安になります
- BOOTHのダウンロード商品:購入者が支払った日
- 書店委託:委託先で売れた日。月ごとの精算書の対象期間で判断します
- FANBOXの支援金:支援があった月。振込日は翌月以降になります
ただし、前々年の業務に係る雑所得の収入金額が300万円以下の人は、実際に入金・支払いがあった日で計算する特例(現金主義の特例)を選べます。選ぶ場合は確定申告書にその旨を書きます。
経費として記録するもの
経費にできるのは、同人活動の売上を得るためにかかった費用です。同人活動でよく出てくるものは次のとおりです。
- 即売会のサークル参加費、会場までの交通費、遠方の場合の宿泊費
- 販売サービスの手数料、振込手数料、書店委託の手数料
- 通販の送料、梱包材、宅配便の伝票代
- 画材、ペンタブレット、イラストソフトの利用料
- 資料として買った本、取材の費用
- パソコンや通信費のうち、活動に使った割合の分
私生活と共用しているもの(スマートフォン、パソコン、自宅の電気代など)は、活動に使った割合で分けて記録します。領収書やレシート、利用明細は、何に使ったかのメモを添えて保存しておきます。
売れ残った本は在庫
同人誌の確定申告でいちばん間違えやすいのが印刷代です。100部印刷して60部売れた場合、印刷代のうち経費(売上原価)になるのは売れた60部の分で、残りの40部の分は年末の在庫として翌年に繰り越します。
売上原価 = 年初の在庫 + その年の制作費 − 年末の在庫
年末の在庫の金額は、残った部数に1冊あたりの単価をかけて計算します。計算の仕方と評価方法の違いは在庫と売上原価で説明しています。
雑所得と事業所得
副業として続けている同人活動の所得は、多くの場合「業務に係る雑所得」にあたります。国税庁は、副業の収入のうち営利を目的とした継続的なものを業務に係る雑所得としています。活動の規模や継続性によっては事業所得になることもあり、どちらになるかは個別の状況で判断されます。
- 前々年の業務に係る雑所得の収入金額が300万円を超える人は、請求書や領収書などの書類を保存する必要があります
- 前々年の収入金額が1,000万円を超える人は、確定申告書に収支内訳書などを添付します
自分の活動がどちらにあたるか迷う場合は、税務署か税理士に確認してください。
申告までの手順
- 1年分(1月1日から12月31日)の売上を経路ごとに集計する
- 経費を項目ごとに集計し、領収書と照らし合わせる
- 年末に残った本やグッズの部数を数え、在庫の金額と売上原価を計算する
- 国税庁の「確定申告書等作成コーナー」か会計ソフトに、売上・売上原価・経費を入力する
- 翌年の2月16日から3月15日までの間に提出する(土日祝日の場合は翌開庁日)
同人作家として活動している人も、趣味で年に数回頒布している人も、計算の手順は同じです。頒布帳は1から3を受け持ちます。BOOTHのCSV、FANBOXなどの月ごとの金額、イベントの頒布数を入れると、4で入力する数字を年ごとにまとめます。
作成コーナーでの入力のやり方
国税庁の「確定申告書等作成コーナー」で、同人活動の所得を業務に係る雑所得として申告する場合の大まかな流れです。画面の名称や順番は年によって変わることがあります。
- 「作成開始」から所得税の申告書を選び、提出方法(e-Taxまたは印刷して提出)を選ぶ
- 収入・所得の入力画面で、雑所得の「業務・その他」の欄を選ぶ
- 所得の区分で「業務」を選び、種目(たとえば「同人誌等の販売」「著作権使用料」)を入力する
- 支払者の名称と所在地を入力する(DLsiteなど支払調書が出るサービスは、その内容を参考にする)
- 収入金額に1年分の売上、必要経費に売上原価と経費の合計を入力する
- 源泉徴収された税額がある場合は、源泉徴収税額の欄に入力する
- 給与の源泉徴収票や各種控除を入力し、計算結果を確認して提出する
販売サービスごとに分けて入力するか、同人活動の分をまとめて1行で入力するかは、入力画面の案内に従います。事業所得として申告する場合は、先に「決算書・収支内訳書作成コーナー」で収支内訳書(青色申告の場合は青色申告決算書)を作ります。
集めておく資料
| 資料 | 入手先と注意点 |
|---|---|
| BOOTHの売上管理CSV | ショップ管理画面から出力。1回に31日分まで、ダウンロードリンクは3日で切れます |
| FANBOX・Fantiaの月別売上 | CSVはありません。管理画面の月ごとの金額を控えておきます |
| DLsiteの売上明細書・支払調書 | サークル管理画面の売上確認から。源泉徴収税額の確認に使います |
| 書店委託の精算書 | 委託先から毎月届く明細。売れた部数と手数料がわかります |
| 印刷所の請求書・領収書 | 本ごとの部数と金額。在庫の単価の計算に使います |
| イベント参加費・交通費の記録 | 申込の控え、交通系ICカードの利用履歴など |
テーマ別・販売先別のガイド
よくある質問
同人誌の売上が赤字でも確定申告は必要ですか。
同人活動の所得がマイナスなら、その活動について税金はかかりません。ただし、他の理由で確定申告をする人は、同人活動の分も含めて申告します。赤字を給与所得と差し引きできるかどうかは、所得の区分によって変わります。
売上はいくらから申告が必要ですか。
基準になるのは売上ではなく、売上から経費と売上原価を引いた所得です。会社員なら給与以外の所得が20万円を超えると所得税の確定申告が必要になり、20万円以下でも住民税の申告は別に必要です。
サークルの仲間と合同で本を出した場合は。
売上や経費を誰がどれだけ受け取り、負担したかを記録しておき、それぞれが自分の分を申告するのが一般的です。分け方に迷う場合は、税務署で確認してください。
出典
このページは、法令や各サービスの公開情報をもとに一般的な決まりを説明したものです。個別の状況での判断(所得の区分、経費にできるかどうか、税額など)はお答えしていません。判断に迷う点は、税務署または税理士にご確認ください。